この曲を聴け!
Budokan Hall Tokyo 1994 / YNGWIE MALMSTEEN
失恋船長 ★★★ (2025-06-09 23:54:36)
最新作TOKYO LIVEですが、日本のCD発売がまだなので配信盤がありません。ハッキリ思いますけど、本当に欲しい人は配信盤があろうがお金を払います。ワタクシも凱旋マーチの新作買いましたからね。海外ではもうリリースされているのに、むしろ視聴してからより一層欲しくなるだろう。
今どき売り上げやランキングを見てからCD買うなんて、どんだけ自我がないのよ。複数アカウントばかり作ると自らを見失う、皮肉だね。勘弁して欲しいねぇ。
そんなこんなで、配信盤で見つけたのが今作。ライブDVDはあるのですが、音源だけになっているのが嬉しい。そしてこの作品にはCD化されたものがあるのだが、その商品説明の対訳ではヨーロッパでのテレビ放送時のオーディオ・テープを使用してのリリースでありとなっているのだが、MCが日本語、こんにちわも言っているしブドーカンも連発している。
どう考えても日本で行われたライブ映像の音を抜き出したモノだと思うのだが、タイトルが同じでソースが違うのかね。配信盤あるあるなんだよんぁ。BIG IN JAPANの恩恵を受けまくったイングヴェイ。アメリカで再び人気に火がついた途端い、後ろ足で砂を掛けるように日本を捨てた男ですが、それも彼らしいですね。
王者イングヴェイともてはやされた彼、マイク・ヴェセーラと作り上げたアメリカンナイズド路線時代のライブではあるが、ネオクラシカルの創始者だけに、やっぱり後続組とは味わいが違うんだよな。オリジネイターとしての強み、なにより、ベースもドラムもキーボードも役割をこなし、専任のヴォーカルがいるというだけで鳴っている音に違いが出てくる。
バンドとしてのバランスが今より断然いいと思う。やはりイングヴェイ本人が歌ったりキーボードプレイヤーが歌ったりと、するのが悪いとは言わないが、本当にそうあるべき形ではないというのが、今作を聴いて如実に感じた印象だ。
今作は初期の凍てついた北欧風味でも、荒れ狂うネオクラギターでもない、バンドとしてのイングヴェイ感がある。マッツ・レヴィンとやったライブよりも、今作の方が聴きやすいのは選曲はインストナンバーのオンパレードだけじゃない熱の籠もったライブ。興行主やレコード会社の意向も働いた結果、日本のファンに馴染みやすいライブになったのならば正解だ。とは言え、それはアメリカンナイズドされたマイク時代のアルバムNEVER DIEが中心だからに過ぎないという点もあるので、フルでライブに参加したモノでないと分からないだろう。
個人的には荒々しいイングヴェイと、その勢いに引っ張られるかの如くメタリックなパワーサウンドを支えたメンバーに賛辞を贈りたい。BURNのカヴァーも偏った選曲の中では、個人的にはありがたいサプライズだった。マイク・ヴェセーラがバンドにもたらしたマジック。それをこのライブ盤から感じ取れる。
売れ行き好調だったマイク・ヴェセーラ時代。個人的には、それに反してあまりのめり込めていない。情緒のないヘヴィなストロングスタイルが増えたと感じた。特にNEVER DIEは人気があるスピードナンバーだが、個人的にブワーッと流れるので、もっとイングヴェイらしい構築美を欲したからだ。でもマイクのおかげで色んなタイプの曲をやれているのはポイントが高い。
やっぱり人気のある時代だけに、脂が乗っているのは間違いないだろう。ジョー・リン・ターナー時代よりもバンドに良好な関係性を感じる。
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